No.35 木を見て、森を見て、森の外に出てみる

上司が部下に仕事の依頼をするとき、上司はきちんと伝わったかどうか、部下はきちんと理解できたかどうか、気になりませんか?

期限がきて結果をみてみたら、全く期待はずれのものができていた、とか、どこでも起こりそうな話ですよね。

上司はその仕事の背景、目的、ゴールを俯瞰的に見ていますし、部下にはできるだけ自分で考えて取り組んで欲しいと思っているので、どうしても抽象的な指示、依頼になりがちです。

部下は眼の前の依頼された仕事をどうやればいいかを考えるのに精一杯で、何のためにやるのかよりもどうやってやるかが気になってしまいます。

また、上司には細かいところまで質問しにくいので、自分の力で考え得るベストな方法で作業に取り掛かることになります。

つまり、森を見ている上司と木を見ようとしている部下の間でギャップができてしまうのです。

このギャップを解消するには、上司は次のように確認するといいでしょう。

「この仕事、ひとりでできそうか?」

すると、部下は、具体的なイメージをもって、不安なところ、自信のないところを抵抗なく上司に確認しやすくなります。

個人でもそうですが、特にチームでものごとを進める時には、何故それをやるのか?という森の部分と具体的にはどうやってやるのか?という木の部分を行ったり来たりしながら、作業のイメージをすり合わせていきます。

また、なかなかうまくいくイメージにたどり着けない場合には、森の外に出て、他にもっといい方法はないのか?と代替案を探しにいくことも大切です。

抽象と具体策のハシゴを昇り降りしながら、革新的なアイデア=代替案を探っていくやりかたは、モノづくりの世界で使われているVEC(Value Engineering for Customer)にも通じるものがあります。

今日、あなたは木を見に行きますか?森を見に行きますか?それとも森の外に冒険にいきますか?

No.34 巨人の肩に乗りDX時代を闊歩する

世界はデジタルトランスフォーメーション(DX)の時代。

5GやAI、それらを活用した自動運転など、あらゆるツールが電子化され、つながり、デラックス(DX)になっていきます。

このような変化の早い世の中で、これから自分は先端的な技術についていけるのだろうか?時代に取り残されはしないだろうか?と心配になる50G世代も多いかもしれませんね。

78億にも及ぶ世界の人々がインターネットでつながり、人類史に例を見ないスピードで技術革新が進む中、すべてのことをイチから自分ひとりで学ぼうとしても、とても追いつけません。

「わたしがかなたを見渡せたのだとしたら、それは巨人の肩に乗っていたからです」

(If I have seen further it is by standing on shoulders of Giants.)

アイザック・ニュートンは、ロバート・フックへの書簡でこんな言葉を残しています。

iPS細胞の研究でノーベル賞を受賞した山中伸弥教授も、先人たちの偉大な仕事の上に自分たちの成果がある旨のことをお話されていました。

ならば、凡人こそ先人に学び、その土台の上に立って新しいことにチャレンジしていくことで、最短距離で時代の最先端に近づき、そこから独創性を発揮していくやり方がよさそうです。

学ぶ=真似ぶ、習う=倣う、と表せるように、学習とは模倣。モデリングともいいますが、うまくいっている人のマネをすることが成長の第一歩につながります。

TTP:徹底的にパクる、などの表現もあります。守・破・離の守の部分です。

型があるから型破りな芸が生まれるのであって、型がなければ、型無しです。

ところが、形だけマネてもうまくいかないことがほとんどで、如何にして本質を掴み、そこを真似るかが重要です。型から入り、それを実践する中で本質を掴む。

行動、発言といった目に見える部分だけではなく、その水面下にある思考、感情という目に見えにくい部分にこそ本質がある。

いとも簡単に成功しているように見えるあの人の本質はどこにあるのか?どんな姿勢、どんな態度でものごとに取り組んでいるのか?一歩踏み込んだ考察が学習の質、TTPの質を高めます。

あなたは、今日、誰のどんなところを真似しますか?

No.33 プロフェッショナルな仕事にアドリブはない

仕事をしていると、お客さんのどんな予想外の反応にも、その場でしっかり対応するアドリブの達人のような人がいませんか?

一見、頭がいい、機転が利く、反射神経がよい、空気を読める、のような、能力的なことが理由のように見えますが、もしかすると、お客さんの前に立つ前に、人一倍の努力をして、周到な準備をされているだけかもしれません。

天才と言われた志村けんの遺作ともいえる舞台、「志村魂」は、志村けんがドリフターズ時代からずっと磨き上げてきたコントの集大成とも言える作品です。

ドリフのコント、志村けんのコントでは、予想外のことが沢山起きます。また、バカ殿にしても変なおじさんにしても、石野陽子との夫婦コントにしても、気のあった仲間とのアドリブの応酬で日本中を楽しませてくれました。

しかし、実は、志村けんのアドリブは全て台本どおりで、いかにアドリブらしく見せるか、徹底的に工夫し、稽古をしたといいます。そして、それは本人だけではなく、共演者にも高いレベルの準備を求めました。

100の仕事に200の準備。リンカーンはこう言いました。

「もし8時間木を切る時間を与えられたら、そのうち6時間を私は斧を研ぐのに使うだろう。」

アインシュタインはこう言いました。

「私は地球を救うために1時間の時間を与えられたとしたら、59分を問題の定義に使い、1分を解決策の策定に使うだろう。」

稽古、道具の手入れ、問題設定、このような周到な準備があればこそ、お客さんの前で、まるでジャズのアドリブのように小気味よい受け答えができるようになるのです。

お客さんの反応をシミュレーションして、どんな状況にも対応できるようにシナリオを描き、イメージトレーニングとリハーサルで徹底的に体に染み込ませる。ここまでやれば、自信を持ってVIPの前に立つことができます。

あなたは今日、重要なミッションのために、どんな準備をしますか?

No.32 Fake it Until Make it !

あなたは今の目標が達成できたときに、どのような自分になっているでしょうか?

今のあなたよりも自信に満ち溢れ、以前よりもできる自分になっている?

例えば、カリスマセールスマンになることを目標にした場合、今は普通のセールスマンだけど、売上目標が達成できたらカリスマセールスマンになれる、と考えるでしょうか?

それならば、目標が達成できるまで待つ必要はありません。こんなにもったいない話はないのです。

目標を立てた今、このときから、目標を達成した自分になりきって、目標を達成した自分なら、今週は、今日は、今この瞬間は、どんな思考と行動をとるだろうか?と考えてみるのです。

まさに未来からの羅針盤、未来からの司令塔です。

1年後に目標を達成した自分を今から演じるのです。Make=達成するまで、Fake=模倣するのです。

シェークスピアも「お気に召すまま」でこんな名言を残しています。

All the world’s a stage, And all the men and women merely players.

「この世は舞台、人はみな役者だ!」

目標が達成されるまで、とことん、未来の自分を演じきりましょう。

 

No.31 自分でコントロールできることに集中する

やることが沢山あって、少しでも時間を有効に使いたいのに、自分ではどうにもならないことでくよくよしたりして、あとから振り返るともったいない時間の使い方をした、と悔やむことってありませんか?

もう戻らない過去の時間の使い方を悔やむことで、さらに時間とメンタルを消費してしまいます。

人生には、自分でコントロールできることとできないことがあり、うまくいく人は自分でコントロールできることに集中しています。

例えば、大事な試合の前日に雨が降るかどうか、五分五分の天気予報だったときに、雨が降ったらどうしよう、と自分でコントロールできないことで案じるよりも、雨具や多めの着替えなどを準備して、雨が降っても大丈夫なように備えておくことが大事です。

いろいろなことが気になって何ごとも手につかないとか、何から手をつけたらわからないような状態のときには、まず、自分でコントロールできることと、自分でコントロールできないことに分けて、紙に書き出してみましょう。

自分の行動に対して相手からどう思われるかはコントロールできませんが、自分の気持ちの持ち方で、相手を信頼して一生懸命頑張る、ということはコントロールできます。

相手の行動はコントロールできないけれど、それをどのように捉えて、解釈するかは自分でコントロールできます。厳しいことを言われて逆恨みするか、自分の成長の糧にするかは自分次第です。

まずは、あなたが囚われている、コントロールできないものがないか、紙に書き出して点検してみましょう。

No.30 思いは枯れる、夢は腐る

1月も中盤から後半に差し掛かりましたが、新年に立てた目標達成に向けて、前進していますか?

もうどんな目標を立てたか忘れてしまっている?

米国ペンシルバニア州にあるスクラントン大学の調査によると、新年に立てた目標を年末に達成した人の割合は8%、そして、最初の1週間で25%が脱落するそうです。

新年に限らず、目標を立てようというときは、テンションがあがっているので、あれもこれもと高めの目標を設定しがちです。

また、目標を立てた段階で、できたような気になって満足してしまうので、そこから行動につながらないという説もあります。

やる気には二種類あり、瞬発的なやる気がテンション、持続的なやる気がモチベーションと言われています。

放っておくと、あの時のテンションはどこへ行ったのかと思うくらい、時間とともに思いは枯れていき、モチベーションが上がらず、夢はやがて腐ってしまうのです。

そうならないように、自分でも定期的に目標を振り返ったり、手入れをしてあげる必要があります。

しかし、自分ひとりの力には限界があるので、ここで大切なのが、応援してくれる支援者、協力者や叱咤激励してくれる仲間です。

せっかく立てた新年の目標、あなたは誰と育てていきますか?

(写真はプラハのカレル橋。バドワイザー発祥の地。)

No.29 やるべきことをやる

卓球の全日本選手権が開催されました。女子シングルス決勝では、若手の成長に苦戦を強いられてきた石川佳純選手と国内では敵なしと目されていた伊藤美誠選手がぶつかりました。

前半は攻勢だった伊藤美誠選手でしたが、最終3セットを石川佳純選手が連取し、涙の優勝!を勝ち取りました。

日本の真のエースとして石川選手が若手の壁になる、若手はこれを崩すべく、さらに精進する。日本の卓球が益々強くなりそうな予感がします。

この試合を冷静かつユーモア溢れる解説で盛り上げたのが、レジェンド福原愛さんです。

石川選手は、派手さはなくても、相手のミスを誘う罠を随所にしかけ、泥臭く得点を重ねていった、という解説がありました。

そして、こんな言葉を残しています。

「思い切って攻めて一発で決めていくのもいい戦い方ですが、相手のいるスポーツなので、自分のやりたいことではなく、どうしたら点につながるかを意識した選手が勝てるのかなと改めて思いました。」

これは、勝負ごとの全てに通じる、とても重要な真理をついています。

自分の卓球に徹することも大事ですが、相手に勝つことが試合の目的です。

資格試験などもそうでしょう。いくらいい勉強ができたと思っても、相手=採点基準、合否判定基準をクリアしなければ、試験に合格はできません。

逆に、ルールで許される範囲では何をやってもOKです。

目的・目標をどこにおき、目標を達成するためにどんな戦略で立ち向かうか?

目的・目標を定め、敵を知り、己を知り、ルールを知り、勝つためにやるべきことをやる。

石川選手の姿に勝者のメンタリティを感じた一戦であり、それを的確に解説してくれた福原愛さん、泣き虫愛ちゃんの成長した姿はまさにレジェンドでした。

あなたが今日、やるべきことはなんですか?

No.28 ビビリは最高のギフト

大きな舞台に立つ時、未知の世界に飛び込む時、不安とプレッシャーで押しつぶされそうになり、自分はなんてビビリなんだろう、と感じることはありませんか?

しっかり予測と準備をして臨めば怖くない!でもそれができないから余計不安になる。

そんなときは、大舞台で活躍している人から学んでみましょう。

歴史の舞台で名を残す、孫氏。その兵法書では、「将、吾が計を聴きて之を用うれば、必ず勝たん」という一節があります。

時間をかけて、さまざまなリスクを想定しながら準備をしていれば、目標は必ず達成できる、という意味合いでしょうか。

これをわかりやすい言葉で伝えてくれるのが、京セラ創業者の稲盛和夫さん。

「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に行動する」

構想段階では、大きな夢、ビジョン、ありたい姿を描くために、ワクワクするような楽観的な思考が必要です。

しかし、これを確実に現実のものにするためには、うまくいくことを前提とした楽観的な行動計画だけではなく、あらゆるリスクに手を打てるような堅実な計画を持っておくことが重要です。

ここで役に立つのがビビりの性分です。こうなったらどうしよう、ああなったらどうしよう、と悲観的に心配ごとが次から次へと湧いてくる。

この心配ごとを洗いざらい書き出して、もしものときの対策を考えうる限り用意しておけば、不安が自信に変わります。

最後は自分自身でコントロールできることに集中して、楽観的に行動すること。

ここでもビビりの性分をフル活用して、気になることを書き出して、自分でコントロールできることとできないことに選り分けます。

天気はコントロールできないが、雨具を用意しておくことはできる。他人の評価はコントロールできないが、自分の努力はコントロールできる。

あとは、信頼できる人に背中を押してもらい、運を天に任せて、大舞台や未知の世界を楽しんでしまいましょう。

No.27 必死に勝る無我夢中

何かを成し遂げたい、達成したい、やり抜きたいという時、またそうせざるを得ないとき、必死になって頑張り、成果を得る。良い結果が得られたときには、喜び、感動もひとしおですよね。

この必死という言葉にはどこか悲壮感が漂いますが、大事なことは、必死にやる動機が外発的なものか内発的なものかです。

人から言われて、人から強制されて、何事かに追い込まれて、人から報酬を得るために、必死にならざるを得ない状況では、外発的な動機が支配的です。何かを成し遂げるには、これも大変重要な要素です。

これに対して、自分の心の中から湧き出るような目的、目標、やむにやまれずやってしまうような行動は内発的な動機によるものです。

ダニエル・ピンク氏と大前研一氏は、アメとムチによる外発的動機をモチベーション2.0、自分の感情、思考から湧き出る内発的動機をモチベーション3.0と定義して、これからの時代に求められるのはモチベーション3.0だとしています。

目標達成のために持続的にやる氣を維持するためには、この、内発的動機が大事なのです。

モチベーション3.0の究極の姿は無我夢中。メンタルトレーニングの世界では、ゾーンに入るとか、フローに入るなどともいいます。つまり、全集中ですね。

時を忘れて、場合によっては寝食を忘れて、何かに没頭してしまった経験、ありませんか?子供の頃を振り返ってみてください。きっと、時間を忘れるほど文字どおり無我夢中になって没頭した経験が蘇るのではないでしょうか?

無我夢中の境地を生み出すのは、思考、感情。目に見えにくい部分。ことばにするとすれば、知行合一、言行一致の極致ともいえます。

あなたは、今日、どんなことで無我夢中になれそうですか?

心から没頭できる何かを見つけるため、1日に1回は自分と向き合う時間を作り、本当はどうしたいのか、自分の心の声に耳を傾けてみましょう。目指すは全集中常駐!

No.26 イメージが理想の明日を創る

手帳やスケジュール帳を使って1日の行動予定を立てているのに、なかなか予定どおりに進まないことってありますよね。

その理由のひとつとして、項目として予定にいれているけれど、具体的にどのようなステップでその行動をするのかが明確になっていないことが考えられます。

仕事を始めようと机に向かったけれど、さて、何からやろうか、どういう風にやろうか、考えているうちに時間が経過し、気がつくと予定の時間が迫っています。

重要な仕事はこんなことにならないようにしっかり予測と準備をしたいものです。

そのために有効なのが、前日のうちに、重要な仕事に対して、それをどこでどの時間にどのような準備をして、どのような段取り、方法、手順でやるか、文字に書き下しておくことです。

具体的な作業のイメージを頭に描き、ひとつひとつ作業を進めれば、その仕事が完了するよう、あらかじめ、階段を作っておくのです。

階段が高すぎると、最初の1段を登るのに、また時間がかかってしまいます。

無理なく登れるレベルまで階段の高さが低くなるよう、作業を分解していきます。分解する作業をチャンクダウンといいます。こうしてできた階段をベビーステップといいます。

大きな仕事になればなるほど、チャンクダウンとベビーステップで計画をたてることで作業効率が格段に改善します。

寝る前に理想の1日をイメージして、あとはやるだけ!の状態で明日を迎えましょう。